30歳 美活男子の東京徒然日記

30歳男子の東京生活日記です。ただの日記ではなく、色々な情報を発信していきたいと思います!

ビラ配りマイスター

私は外でパンなどを頬張って食事を済ますことが多い。

お店の中に入って食事をすることが、実はあまり好きではない。ではもっぱら家の中かというと、そうでもない。「外」がとても好きなのだ。肌に触れる風を感じて、街路に沿って生える木々や小さな花といった都会に生きる自然を、そしてその中に流れていく人波を見ながらパクっと食べる。ただ食欲を与えるだけでなく、また別の活力を与えてくれる。

その為か、街路に立ち止まりながら(あるいは座りながら)何かしら食べてるとよく知らない人に声をかけられる。その大半はカットモデル。次にアンケートが多い。つい、先日も秋葉原で同じようにパンを頬張りながら人並みを眺めていた。ビジネスマンや海外の旅行者、個性的なファッションを身に纏う人…秋葉原も中々に面白い街だ。

そんな中、ふとビラ配りをする若い女の子が目に入った。20代前半くらいか、あるいは20歳になりたてくらいかもしれない。可愛らしい子で、寒い中一生懸命配っていた。頑張れ!と心の中で静かに応援し、再びパンを食べるのに集中する為やや下に視線を切り替えた。そうしてしばらくすると、私を呼ぶ声が聞こえた。私は再び頭を軽く上げなから、声の方向に目線をやった。その声の主は先ほどそこでビラ配りをしていた彼女だった。

 

ビラ配りは行き交う不特定多数の歩行者に対してするのが普通。わざわざ私という特定の人間に向かって来るなんて何事かと、ちょっと驚いてしまった。

「すみませ~ん。最近この近くにオープンしたばかりの美容院のものなんですけど…。いい感じに髪伸びてきてますね!よかったら髪切りませんか?今ならこの値段で切れちゃいます!」と言いながら彼女は配ってたビラを見せてくれた。なるほど、今回はカットモデルとは少し違うようだ。新店の営業であった。通常ならシャンプー付きのカットが税込み¥5400のところ、新規は半額の¥2700、さらにこのビラをもらって来てくれた方には¥2160にしてくれるとのことだった。一瞬、切ってもらおうかと思ったが、そんな考えを私はすぐに制した。髪を切ってくれる場所や人というのは、値段よりもさらに重要だ。金には換えられない部分が多い。私は浮気なぞしない。(実は出費が色々重なり、金銭的に余裕がないのが本音)

 

ビラ配り…彼女の姿が最近知り合ったある知人の事を私に思い出させた。この前、その子と一緒に飲みに行ったのだが、その子は派遣に登録をしていてよくビラ配りのバイトをしているという。その子いわく、配るビラの内容や場所によって何枚配れるかがだいたい分かるというのだ。そして内容によってもらってくれそうな人とそうでない人を瞬時に見極めるため、誰にでも声をかけるわけではないという。

「私にビラ配らせたらすごいっすよ!」

 

ふむ、たかがビラ配りと侮るなかれ。どんな仕事であろうが、ある点に秀でる事は中々に難しいものだ。それが役に立つか羨ましいかはまた別として、とりあえず私は知人に敬意を表してこう呼ぶことにする…

「ビラ配りマイスター」と…。

 

せーいち