30歳 美活男子の東京徒然日記

30歳男子の東京生活日記です。ただの日記ではなく、色々な情報を発信していきたいと思います!

上京前のお話⑭〜ドイツ留学時代 心の変化~

留学終了の一か月前ともなると、いよいよ帰国後のことについて考えなければいけませんでした。考えるといっても、僕が取るべき選択肢はただ一つ。大学卒業後はすぐにでもドイツに戻ってドイツの大学院に進学。そして修士・博士課程を経て博士論文を執筆し、博士号を手に入れる。そのままドイツの大学の日本人教授として在席し、自分の好きな研究に勤しむ。自分が愛した場所で自分の好きな事をただひたすら追求し、自分の好きな世界に生涯浸り続ける。それこそが今までの僕の取るべき選択だったし、求めた理想の人生だったんです。そう…留学をするまでは。

留学中、本当にたくさんの人と出会って多くの事を話しました。彼らはみな、遥か東の島国、日本のことを本当に興味深々に聞いてくるのです。日本人は何であんな勤勉なの?日本て何であんなに色々な宗教行事が行われているの?宗教に寛容すぎやしない?なんで首相や大臣連中が短期間でコロコロ変わるの?島国なら単一民族国家なの?~ねぇねぇ!~

そんな彼らの日本という国に対する好奇心が、僕の視点を自分が今まで生きてきた自国、日本に向けさせたのです。彼らの問いに対して全然答えられなかった、考えたこともなかった今までの自分。でも今、そんな自分が日本から遠く離れた場所に居て、好奇心旺盛な彼らに感化されたのか、自分の母国を客観的に見るようになった。自分の生まれ育ったあの国はそもそもどういう所なのだろう?彼らが興味を示し、いつか必ず行ってみたいとまで言う国。彼らがもし将来来日したのなら、その時彼らは我々の母国についてどう思うだろうか?その時僕は、彼らの問いに今度こそ自信満々に答えられるだろうか?

僕は、彼らのように自分が生まれた国に誇りを持てる人間になれるだろうか…。もし今そのような状況に自分も日本もいないというならば、自分を、そしてこの国をいい方向に変えていかなければならないし、そのような事ができる仕事に勤めてみるのもいいかもしれない。彼らが来た時に胸を張って誇れるように…。

そういえば昔、母が僕に度々言っていた事を思い出した。

「公務員になりなさい」

…公務員?あぁ、市民の税金で飯を食っておきながらたいした働きもしないくせに、自分の生活の安定ばかり気にする市役所の連中のことだろう。それとも、学校の先生か?まさか警察官とか?母は何を寝ぼけたことを言っているのかと、当時は思った。しかし、そんな母の言葉の中で、妙にひっかかるものがあった。

「国家公務員」

なんだっけか?以前に母に勧められたこの職業。当時聞いてた時はそんなものには全く興味なし。母の言葉なぞ耳から耳へと突き抜けていき、記憶に留めようもなかった。しかし今、帰国が迫る今まさにその言葉を思い出したのだ。けれど、どんなものかよく分からない。母は昔から私にその仕事に就くよう願っていた。そうだ、一度自分で調べてみよう。きっと今の自分が求める何かが、そこにあるような気がするから…

つづく